戦極姫〜戦乱の世に焔立つ〜

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戦国の雄の軍師となって天下統一！

©unicorn-a Ge-sen18

正直なところ、このゲームは問題がかなり多くて手放しでオススメはできないが、かと言ってクソゲーと切り捨ててしまうにはあまりに惜しい。ハマる人はかなりハマるだろうけど、受け付けない人はまったく受け付けないというタイプのゲームなんだけど、いくつもある問題点のせいで、ハマれる人がかなり限定されてしまうんじゃないかという気がする。

一般的にエロゲーをプレイしていて、真っ先に目がいくのはCGだろう。この作品はこのCGに問題アリ。公式サイトを見ると、このゲームにはサブも含めて10人の原画家が参加している。そのせいで原画家の個性がぶつかり合い、CGはほとんどカオス状態になってしまった。もちろん、複数原画家のゲームが悪いとは言わない。しかし、その場合は、違和感が出にくいように塗りに統一性を持たせるとか、雰囲気があまりに違う立ちキャラが同時にゲーム画面内に登場しないようにするとかの配慮が必要だろう。ところがこのゲームには、そうした配慮は一切ない。これでは原画家の魅力を活かすどころか、逆効果になっているとしか言いようがない。

ではゲーム部分は楽しいのかというと、これも大いに問題アリと言わざるを得ない。このゲームはAVGパートとSLGパートを繰り返しながら進んでいくわけだけど、AVGパートではセーブ不可能という仕様。もちろん、クイックセーブなんていう気の利いたものがあるはずもない。さらに、データをロードするためには、1度タイトルに戻らなければならず、頻繁にセーブ＆ロードを繰り返すゲームとしては、面倒くさいことこの上ない。それ以外にも、コマンドが1クリックでは実行できず、なんどもクリックしなければならないのもストレスの原因になっている。とにかく全体的に「ユーザーフレンドリー？　なにそれ？　美味しいの？」というノリなんだよね。

そうした問題点の多くは、ベースとなったゲームにあったんじゃないだろうか。このゲームのシステム部分は、システムソフトαが発売した『天下統一ADVANCE』がベース。ベースと言うよりは、流用と言った方が良いかな。『天下統一ADVANCE』は名作というにふさわしいゲームではあったけど、2002年発売のゲームだし、さらに言えば『天下統一ADVANCE』自体が1989年発売の初代『天下統一』を継承したものだけに、さすがに古臭さは隠せない。思えば、この時代のゲームって、ユーザーフレンドリーなんてことはまったく考えていないものばかりだったよなぁ……と思うものの、快適な操作性に慣れた身には、このゲームの仕様は辛すぎる。『天下統一ADVANCE』をベースにするのは良いけど、せめて操作性の部分には手を入れるべきだった。

しかしながら、『天下統一ADVANCE』は往年の名作と言われるだけあって、ゲームバランスなどは今プレイしても十分に面白い。自軍の戦力が充実するのを待って、強敵と戦うのを後回しにしていたら、強敵がますます強くなって手がつけられなくなったり、周辺国と同盟することで二正面作戦を回避していたら、周囲が同盟国ばかりになって身動きが取れなくなったりと、なにも考えずにプレイしたら詰みになってしまうこと確実。だけど、よく考えてプレイすれば、どんな強敵にも必ずつけいる隙があったりするので、そうした隙を見つけ出して敵を撃破したときの楽しさは格別だ。

©unicorn-a Ge-sen18

また、初期状態では織田、上杉、毛利、島津の4勢力でプレイすることができ、この4家のいずれかをクリアすると武田でのプレイが可能になる。さらにシナリオなしでSLGだけを楽しむことのできる群雄モードもある。織田や上杉でプレイすると武田は強敵だけど、島津でプレイすると東日本に勢力を伸ばすころには武田は滅亡していたりと、どの勢力でプレイするかによってゲーム展開がまったく変わってくるのも面白い。どういう進軍ルートを取るかなど、自由度も高くて、このゲームをとことんしゃぶり尽くそうと思ったら、数カ月くらいは余裕で遊び続けることができるだろうね。

個人的にはかなりハマることができたし、シンプルなAVGが主流の中で本格的国盗りSLGをリリースしたことを評価して、オススメ度☆4つつけたい気持ちもあったりする。だけど、今時のエロゲープレイヤーに、このゲームのカオスなCGや、ストイックなゲーム性が受け入れられるのか？　と考えると、かなり厳しいんじゃないだろうか。そう考えると☆2つが妥当という気もするし、迷った末に☆は間を取って3つとした。確実に言えることは、お手軽にストーリーを楽しみたいとか、エロを見たいというプレイヤーは絶対に手を出してはいけないということ。間違いなくクソゲーだと思ってしまうだろうからね。反対に、かつて『天下統一』シリーズを楽しんできたプレイヤーなら、このゲームの楽しさを理解できるんじゃないかと思う。それにしても、もう少し丁寧に作っていれば名作にもなり得ただろうに、本当にもったいないゲームだなぁ……。

（by Suno）