ティルアぱにっく

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男に戻るためには性欲が必要!?

悪魔のティルアと出会った柚希は彼女の力で女に性転換させられてしまった。好きこのんで女になったのではなく、ティルアの施す不幸の受け入れを柚希が断わると、柚希の憧れの娘ひな（雛衣）が不幸になってしまうため、やむなく不幸になったのだった。ティルアが施した術は1カ月のはずであったが、不測の事態により男に戻れるか微妙な状態になってしまう。確実に男の姿へと戻るためには、1カ月以内にティルアが必要とする力の源――性欲――を満たさねばならない。幼馴染みの乙女姉の協力で女子寮で生活をすることになるのが、はたして男に戻ることは出来るのだろうか？

Copyright ©2007 COCKTAIL SOFT/HQ ©FANDC.CO.JP

元々見た目が女のコっぽかった柚希が悪魔ティルアのせいで女のコになってしまい、柚希とその周りの親しい人たちが男へ戻るための手助けをしていくというコメディ的な要素の強い学園恋愛ゲームとなっている。メインとなるヒロインは、柚希の憧れの女性で純真で巨乳の持ち主である雛衣、幼い頃からの優しいお姉さん役だが空手部では鬼部長と呼ばれる乙女、手芸部の後輩でコスプレ趣味を持つゆきのの3人といえるだろう。途中から登場する親友の妹ひめゆりと、悪魔ティルアにもエンディングが用意されている。個性的で魅力のあるヒロインたちと比べ、主人公のほうはどうなのかというと、軟弱で優柔不断を地でいくというベタな設定だった。もはやこのタイプの主人公は食傷気味と感じる人も多いわけで、よほどのサプライズがないと厳しいと思う。個人的にはルートによってシナリオの出来に当たり外れがある感じで微妙な印象を受けた。

シチュエーションのほうは、超奥手な主人公が女のコになってしまっているため、軽いお色気シーンのオンパレードで終盤までいくエロの薄さが気になる。主人公が奥手ゆえに、お色気シーンを見るだけで性欲がどんどん溜まっていくという設定となっているのがいただけない。この部分がエロを求める人には相容れないものとなっていそうだ。ほとんどのシーンがエロじゃなくてお色気だからね。話的にはそこそこ面白いと思うが、無理にエロゲーにしなくてもいいような印象を強く受けた。このような作りからしてエロゲーのライト層以外への訴求力はないだろう。そのため、ラストにちょこっとだけ用意されているＨシーンをなくして、最初からコンシューマ向けに企画を練り込んで制作販売したほうがよかったんじゃなかろうか？　すくなくとも、これがエロゲーとしてかなり売れる作品だと思っていたらマーケティングか企画のどちらかに致命的ミスがあると思う。エロさをほとんど感じられないもんね。

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ゲームのシステム面では必要な機能はひと通り揃っているとは思うが、初期状態ではバックログが使いにくい。無駄に高速スクロールしてからバックログが見られるようになるという演出がウザくて邪魔なので、設定で演出を真っ先にオフにした。その時点でほかの演出も全部切れてしまったんだろうけど……快適なプレイのためには仕方ない。快適にプレイできるための機能に無駄な演出を付けて本末転倒になっているという好例だ。CGモードはティルア23、雛衣22、乙女17、ゆきの19、ひめゆり14、集合9、背景21となっている。本作のCGモードは立ちキャラも登録されているので、各ヒロインは実質そこから-5ぐらいと思ってもらいたい。回想シーンはティルアが7種類、雛衣が4種類、乙女とひきのとひめゆりが3種類で計20種類だった。

それと、本作の起動中だけとはいえどもWindowsの標準外字フォントを勝手に変更するのがいただけない。マルチタスクOSでフォント設定を変更したらほかのアプリケーションに影響がでるだろうに。絵文字はOS設定をいじったりせずに直接ゲーム画面に描画すればよいわけで、外字で楽に表示処理しようなどというのはプログラムの手抜きだといえよう。その外字自体も、文字によってアウトラインだったりビットマップだったりとちぐはぐなのがもう何年も続いていて個人的にはマイナス印象かな。全部アウトラインフォントにするだけの時間はあっただろうに……。かつて、商業印刷用にアウトラインでF&C系の絵文字を見た目似た感じで再現するフォントを作成したことがあったんだけど、自分は1日も掛からずにアウトラインで作れたしね。ほかにも、本作が起動中だとWindowsのクリップボードに画像が入るとそれを検出して勝手にクリップボードを空にするという動作を行なっている。これはユーザーに断わりもなくOS側の機能を勝手に殺しているわけで、ウイルスだといわれても仕方のない挙動だといえるだろう。この仕様には不快感を覚える人もいるかもしれない。おそらくクリップボード経由で画像を保存されるのを防ぎたいということなのだろう。だが、音楽業界におけるCCCDが代表的な例となるのだが、ほかの業種が消費者に反感を買っただけで効果がろくになかった上に購入意欲を削いでしまったことを理解しなかったかあえて無視して同じようなことをしているわけだ。この仕様は再考を切に願いたい。

作品全体を見た場合は、ラブコメ目的でハズレを避けたいという人には無難にまとまっていてお薦めかも。少なくともそれほど悪くはないと思う。ただ、お約束的なイベントが多くて、コメディ系をよくプレイしている人にとってはあまりストーリー展開的に新鮮味がないのがネックとなりそうだ。お薦め度のほうはエロが☆1〜2、システム的には☆2、ストーリーは☆3といったところかな？

（by 天城螢）