レコンキスタ

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寂れたニュータウンで起こる不可解な事件

©コットンソフト

開発が途中で放棄され、今ではすっかり寂れてしまったニュータウン。そんなニュータウンである都市伝説が囁かれるようになる。槍のような刃物を持ったセーラー服の少女が現れ、その姿を見たものはどこまでも追いかけられて首を刎ねられるというのだ。この「首刈り女」の都市伝説を巡って、物語が繰り広げられる。

プレイ前は「首刈り女」の都市伝説をメインとしたストーリーなのかなと思っていたんだけど、実際は都市伝説的なオカルト要素は少ない。ついでにいえば、事件の犯人もあっさりわかってしまうし、あっと驚くようなどんでん返しもないので、推理的要素もナシ。物語は主人公を含めた登場人物たちが、何かを取り戻そうとする群像劇に近いかも。タイトルの『レコンキスタ』を「国土回復運動」ではなく、「失ったものを取り戻す」と解釈すれば理解しやすいかも。そして、そんな登場人物たちの心情はしっかり描かれていたんじゃないかと。ゲームはキャラ別エンド→過去編→トゥルールートという流れで進んでいくんだけど、特にトゥルールートの主人公たちはよく描かれていたんじゃないかと思う。

©コットンソフト

プレイ中に役に立ったというか、面白かったのは年表の存在。このゲームは頻繁に視点が切り替わり、なおかつ過去と現在を行ったり来たりすることが多いので、ストーリーのつながりが解りにくくなってしまうことがあるんだけど、発生した事件を年表として見ることができるので、プレイヤーが混乱してしまうことはないはず。視点の切り替えに関しても出来はまずまず。このゲームの主人公は学園教師の槙野慶吾と学生の三沢信哉の2人ということになっている。複数主人公制を取ることのメリットって、1つの事件を異なった視点から見ることによって全く違った事件に見えることの面白さ、あるいは一方の視点では見えなかったものが別の視点で見えることの面白さだと思う。その点、このゲームでは慶吾ルートでは首刈り女である秋月暮葉を中心とした物語、信哉ルートでは事件の犯人を中心とした物語と、メリハリが利いている。全てのルートをクリアしないと事件の真の姿が見えてこないという点で、複数主人公のシステムを取ったのは正解だったんじゃないだろうか。

ただ、無条件で誰にでもお勧めできるゲームかというとちょっと疑問。まず、物語の盛り上がりが今ひとつ。これはクライマックスシーンでの演出が弱いこと、主人公たちがあくまでも一般人であることが原因だと思うけど、ストーリー展開がやや平坦に感じてしまった。ただの学生や教師であるはずの主人公が、クライマックスでいきなりスーパーマンに変身されても興ざめだから、これは仕方のないことかもしれないけどね。次にエロが薄いこと。Ｈシーンはヒロインである羽鳥真帆子、春日井詩菜、吉森麻咲、秋月暮葉の4人に1つずつ、サブキャラの田村奈那子に1つ、Secretのキャラが2つとなっていて、トータルで7つ。もちろん、このゲームがエロメインのヌキゲーではないということは承知しているけど、1キャラにつき3つくらいはＨシーンが欲しかったというのが正直なところ。それくらいなら物語を壊さずに可能だと思うんだけどね。ちなみにCG枚数は差分抜きで78枚となっていて、こちらもフルプライスのゲームとしては少なめだ。

キャラ萌えや燃え、エロを求める人には中途半端といわれても仕方がない作品。だけど、キャラの心理描写に重点を置く人なら十分に楽しめる良作だろう。というわけで、オススメ度は☆4つ。物語の派手さや大きな感動を求めるのではなく、物語の余韻を求める人にオススメ。

   使い方

攻略

初回プレイでは出てこない選択肢があるので、最初は暮葉か真帆子ルートをプレイすることになる。詩菜は真帆子エンドを見た後、麻咲は暮葉エンドを見た後にプレイすること。キャラ別エンドをクリアすると過去編がプレイ可能になり、過去編をクリアするとトゥルールートがプレイ可能になる。

（by Suno）