ドラクリウス

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吸血鬼として覚醒した主人公の戦い

祖父の手紙を持ってやって来たメイド、ベルチェ。叫喚の魔女の異名を持つ吸血鬼のメイドがやってきたことをきっかけに、自らも吸血鬼の血に目覚める主人公。真祖の血を引く主人公を巡って起こる戦い。否応なく戦いに巻き込まれていく主人公たちの運命は……？

©めろめろキュート

物語は吸血鬼として覚醒した主人公と、吸血鬼を倒そうとする組織、やがて見えてくる謎の敵……という感じの伝奇ロマン。基本的にはシリアスなストーリー展開だね。ただ、シリアスなシーンでもギャグがふんだんにちりばめられているのがこのゲームの特徴でしょう。Ｈシーンはもちろんのこと、物語が最高に盛り上がるべき戦闘シーンや、クライマックスでもそれは同じ。ほぼすべてのシーンにしっかりと笑いが用意されている。脅迫電話がかかってきて、脅迫者と一緒に漫才を始める主人公っていうのは初めて見たかも。そうした笑いが物語の雰囲気をぶちこわしているかというとそんなことはなくて、しっかりとストーリーの中に溶け込んでいるのもいい感じだね。さらに、笑いを取るために2ちゃんねるネタやパロディに頼らず、会話の面白さで笑わせるのも好感度高し。「この雰囲気、どこかで見たような気が……」と思っていたら、『ひめしょ！』と同じシナリオライターの作品。というわけで、メーカーは違うけど『ひめしょ！』が好きだった人なら、このノリを楽しめるんじゃないかな。逆にシリアスなシーンで笑いを取るのは不真面目だと思ってしまう人には向かないかもしれない。

登場するキャラクターが非常に魅力的に描かれているのもこの作品のいい所。吸血鬼のお姫様で腐女子のリアン、リアンのメイドでありながらリアンを弄って遊んでいるゼノ、ツンデレで最後までツンを忘れないリカ、ロリでサングラスで咥え煙草なメイドのベルチェと、いい雰囲気のキャラが揃っている。そんなキャラたちが寄ると触ると喧嘩ばかりで、罵詈雑言の嵐。それが決して陰湿な感じのものではなくて、仲がいいほど喧嘩するという感じのものなので、喧嘩をしているシーンも楽しく見ることができたね。なんというか『トムとジェリー』みたいな感じ？　なんにせよ、「普通の女のコ」というのが1人も出てこない物語で、それぞれのキャラの個性を殺さずにまとめ上げたシナリオはお見事ですな。

©めろめろキュート

だけど、完璧な作品というわけではなかったのも事実。最大の不満点がキャラ別エンドがなかったこと。一応、トゥルーエンド以外にリアン、リアン＆ゼノエンドはあるにはあるけど、これはほとんど取って付けたようなもので、オマケといってもいい程度のもの。リカやベルチェも凄くいいキャラなのに、専用のエンディングがないというのは寂しすぎる。ベルチェなんて最強、最悪の魔女なんていう設定があるのに、活躍の場がほとんどないし……。もしかして、最初は全キャラにエンディングを作る予定だったのが、スケジュールの関係で削除されてしまったとか？　なんにしても、もったいなさ過ぎる。まあ、全体的なテキストのボリュームは十分にあるから、その点では満足のいくものではあったんだけどね……。そして、エンディングに関してもちょっと不満。ネタバレになってしまうから詳しくは書かないけど、フィクションをいいわけにしているように見えてしまうんだよねぇ。

ゲームシステムは一般的なコマンド選択型AVGで、選択肢の数も少なくて難易度も低め。メッセージスキップ等、最低限必要なものは装備している。ただし、CPU負荷がちょっと高かったり、バックグラウンドでの動作が不可だったりとかゆい所に手が届かない仕様。でも、これらの不満点って、設定ファイルをテキストエディターで書き換えることで変更できてしまうんだよね。なんで普通にコンフィグから設定できるようにしなかったんだろう？　何か不具合でも出るのかな？　少なくとも、自分の環境では問題は出なかったんだけど……。

エンディング数が少なかったり、エンディングが尻すぼみだったりと、欠点もある本作だけど、それを補ってあまりあるノリや勢いのある作品という印象。バトルシーンで強さのインフレを起こさなかったのも好み。個人的にはリカがツボにはまりまくりだったので、少々点数が甘くなってオススメ度☆4つ。吸血鬼モノが好きならプレイしても損はない秀作。

   使い方

攻略

リアンと操の喧嘩を止めるとリアンルート。さらに最後の選択肢でリアンを選べばリアンエンド、ゼノを選べばリアン＆ゼノエンドとなる。喧嘩を止めなければトゥルールートだ。

（by Suno）