君が主で執事が俺で

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3人のお嬢様に執事としてお仕え

©みなとそふと

主人公と義姉の美鳩は、父親の家庭内暴力に堪えかねて家出をした。しかし、頼る人もいなければ金もない2人の生活は、あっという間に行き詰まってしまう。そんな時、2人を拾ってくれたのが久遠寺家の3人のお嬢様。主人公は執事として、美鳩はメイドとして久遠寺家で働き始めるが!?

ゲーム的にはスタンダードなコマンド選択型AVG。必要と思われるものは一通り装備しているけど、メッセージスキップのスピードが遅いのが難点。もっとも、ゲームはプロローグが終わるとすぐに個別シナリオに分岐してしまい、共通ルートがほとんど無いのであまり苦にはならないかな。ただ、次回作以降もこのシステムを流用していくのなら、この点を改善しないとストレスの原因になりそう。エフェクトやウエイトを完全にオフにできないのもマイナスポイント。

このゲームはみなとそふとのデビュー作と言うことになるわけだけど、制作しているのはシナリオ・タカヒロ氏、原画・白猫参謀氏という実績のあるスタッフ。というわけで、ゲームそのものは手慣れた感じで安定感がある。ストーリー面では各キャラのトラウマを解決していくという流れで、エンディングもハッピーエンドばかり。ただし、こうしたストーリーは問題があっさりと解決してしまい、盛り上がりはイマイチ。それよりもこのゲームのいい所は日常生活のドタバタでしょう。妹を溺愛しすぎてほとんどアブノーマルの域に足を踏み入れている森羅と未有の掛け合いなんかは結構面白かったし、血の気が多くて沸点の低い朱子なんかも個人的にお気に入り。いろいろなゲームやテレビ番組のパロディがかなり多いので、そうしたネタを理解できるとよりいっそう楽しめそうだ。同じスタッフの制作した『つよきす』のネタなども出てくる。波瀾万丈の物語より、マッタリとした日常を楽しみたいという人向けのストーリーだね。

©みなとそふと

ただし、同じスタッフの制作した過去の作品に比べると、日常生活部分のパワーがダウンしていると感じてしまったのも事実。まず、物語を盛り上げてくれる魅力的なサブキャラがいなかったのが痛かった。あえて言えば揚羽などがそうしたサブキャラに当たるんだろうけど、出番が少ないし、揚羽があまり活躍してしまうとメインヒロインより揚羽を攻略したくなってしまうしね……。主人公やメインヒロインを引き立てるサブキャラって本当に大事なんだなぁと再確認してしまった。そして、このゲームは1日単位で物語が進んでいくんだけど、1日が短すぎた。一言二言セリフがあって1日がお終いというパターンが多くて、ドタバタにオチがつく前に1日が終わってしまうという印象。1日1日をもっと丁寧に描いていけば、もっと楽しい物語になったと思うだけにもったいなかったね。

Ｈシーンはイベント数こそ1キャラあたり3〜4あって標準レベルではあるものの、主人公が早漏で淡泊なのであまり期待しないほうが吉。あくまでキャラ同士の掛け合い、ドタバタを楽しむのがこのゲームの正しい楽しみ方かと。それだけに魅力的なサブキャラの不在やイベントの中途半端さが惜しかった。ヒロインとなるキャラが十分に魅力的だっただけに、その点が惜しまれる。とはいえ、作品としてのクオリティは標準を超えているので、オススメ度は☆4つ。賑やかな日常生活描写が好きなプレイヤーならオススメ。

   使い方

攻略

最初の仕える主人を選ぶ選択肢でルートは3つに分岐。さらにその後の選択肢で主と従者ストーリーに分岐するシステム。ただし、主をクリアしないと従者のシナリオに入ることはできないので注意すること。選択肢の数が少なくて難易度も低いので、迷う所はあまりないはず。朱子シナリオでは最後の選択肢で「奉仕してもらう」を選ばないとイベントを見落とすことになるので気をつけよう。

（by Suno）