東京封鎖〜キミが隣にいた昨日〜

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東京封鎖によって引き裂かれた恋人たち

大城秀典と金田遥は幼なじみの恋人同士。2人はちょっとしたすれ違いから喧嘩をしてしまう。明日謝ればいい。そう考える秀典。だが、その明日がやってくることはなかった。東京は突如、独立を宣言。一夜にして東京は完全に封鎖されてしまったのだ。それから2年後。秀典は言えなかった言葉を遥に伝えるため、東京に潜入する決意をする…。

『東京封鎖』というインパクトのあるタイトルの作品なわけだけど、この設定自体がマズかった気がする。いきなり作品の根幹を否定するような言いぐさになってしまったけど、このタイトルを聞いたとき、多くの人は東京が独立、封鎖された謎に迫るサスペンス作品を想像するんじゃないだろうか。少なくとも自分はそんな作品を想像した。ところが、なぜそんなとんでもない事態になったのかの説明は、最後まで一切なし。伏線を張りまくったあげくに、それを一切回収せずに全てが謎のままで終わってしまう。『東京封鎖』というインパクトのあるタイトルを思いついたはいいけれど、それを活かすための舞台設定を考え出すことができなかったという感じなんだよねぇ。このゲームがコメディやバカゲーならこんなツッコミはしないけど、このゲームはシリアスなストーリーの作品な訳で。こういう物語の整合性とかって大事だと思うんですが、どうでしょう？

©C-side

このゲームがシリアス系のエロゲーである以上、主人公とヒロインのラブストーリーというのも重要な要素になってくるわけだけど、こちらの方はそれなりの楽しむことのできる内容。特に遥シナリオでは回想という形で主人公と遥の思い出をプレイヤーに見せ、その思い出に縛られて身動きが取れなくなってしまった主人公が、2年前に言えなかった言葉を伝えるために東京侵入を決意するというあたりは説得力も十分だし、イベント数も遥が5、それ以外のヒロインが3〜2と、純愛モノとしてはまずまずのボリューム。だけど、これも良かったのは遥シナリオのみ。主人公は遥が好きという前提があるわけだから、遥以外のヒロインと結ばれるためにはそれなりの葛藤が無くちゃいけないはずなのに、このゲームの主人公はあっさりと遥以外のヒロインに乗り換えてしまう。これだとプレイしている側としては「さっきまで遥、遥って騒いでいたのはなんだったの？」と言いたくなるわけで。遥の妹の未来や、親友である茜なんかはキャラクターとしての魅力も十分あるだけに、かなりもったいなかったなぁと。

かなり辛口の評価になってしまったけど、「東京封鎖」という設定をどう活かすかを考えないままゲームを作ってしまったのが全ての敗因だったんじゃないだろうか。どうしても「東京封鎖」という設定を活かしたいなら、プレイヤーを納得させるだけの理由を考えるべきだったし、その理由を思いつけなかったのなら、「東京封鎖」という設定を捨てて、引き裂かれた恋人たちという部分にスポットを当てた物語にすべきだったんじゃないかな。たとえば現実世界でもベルリンの壁とか朝鮮半島の38度線とか似たようなものはあるわけだし、そんな大げさなものを持ち出さなくても、身分違いの恋とか現代版『ロミオとジュリエット』でも良かったはず。主人公の遥への想いとか、良かった部分もあっただけになんとも惜しい作品。とりあえず、舞台設定などを気にしないという前提で、気に入ったキャラがいるならプレイしてもいいかな。

   使い方

攻略

選択肢の数が多く、しかもフラグ立ては結構シビア。1カ所間違っただけでも、狙ったエンディングが出なくなるので気をつけてほしい。ナオミエンドはバッドエンド代わりのエンディングっぽいので、このエンディングだけは適当にプレイしていても大丈夫だけどね。

（by Suno）