香奈子

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香奈子はセクハラにどこまで耐えられるのか!?

就職活動中の妹尾香奈子は下着メーカーのワコーレの面接を受けていた。就職氷河期であるため、面接官の田中部長はセクハラ発言しまくり。しつこいセクハラ発言に我慢できずにヤケになって答えていた香奈子だったが、なぜか二次面接へと進んでしまった。セクハラを耐えに耐えてなんとか入社できた香奈子だったが、入社後もセクハラを受けまくることになる香奈子。彼女はどのような運命をたどることになるのだろうか？

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かなり古い作品だが、2009年夏にダウンロード販売が開始されていたので懐かしくてプレイしてしまった。しかしながら、やはりというか1997年に発売されたWindows95版をそのままダウンロード販売したものだった。元々それもPC9801シリーズのMS-DOS版ベースであるため、ゲームの画面サイズは640x400だし、イベントCGのサイズは480x264だ（スクロールするものは縦方向がその倍）。しかもシステムが当時のままだから、好きなところでセーブできないしバックログ機能などもない。ゲームに向いているとは言い難いMacromedia Directorで作られているのでプレイする際の操作性はあまりよろしくないというのもあるが、初期のWindows版はこういうのが多かったなーと懐かしさも感じてしまった。エンドロールも飛ばすことができないので、タスクを切り替えてブラウザでちょっとサイトを見てくるか……などと思っても、非アクティブになると動作が止まるのでそれもできない。延々と眺めていなければならないのはつらい。

今回はキャララ!!.CCを利用したが、音声が再生されない不具合を修正するパッチが同梱されていて、それをユーザーが適用する必要があった。最初からパッチを当てた状態で販売してくれればいいのにねぇ……。販売サイトによっては適用済みなのかもしれないけど。それと困ったことに、うちのWindows XPのゲーム環境では音声の頭の数秒が2度再生されるという現象が発生したことも記しておきたい。古いハードウェアをエミュレートしている仮想環境であるVirtual PC上のWindows XPでは問題なく動作したので、おそらくオーディオデバイスによっては問題の起こる環境があるというということだろう。それにしても、当時のCPUはMMX Pentiumが出てすぐの頃、Pentium IIが出る直前ぐらい。クロックは200〜266MHzといったところだった気がする。その10倍以上速いCPUの環境で微弱な問題しか起こっていないのはある意味すごいことだよね。

物語のほうは、主人公の香奈子がセクハラをされまくりながらも、けなげに身体を張って仕事をしていくさまが綴られている。同じ会社の社員だけでなく取引先の社長たちにもやられてしまう。ストーリーらしきストーリーはないが、香奈子がオヤジたちに犯されて被虐の喜びに目ざめていく展開が多めの作りとなっている。ひたすら香奈子がセクハラされていくのを楽しむ作品だ。まあ、俗にいう名前シリーズの作品はどれもストーリーはないようなものだったから、シチュエーション買いをするタイプのエロゲーだといえる。コマンドをほぼ総当たりしないと先に進めないので、テンポよく進む最近の作品とは異なる味わいがあるが、そのあたりを懐かしみながら楽しめる人はおそらくエロゲー歴の長い人だけだろう。意味のない無駄な選択肢が多いんだよね。でも代わりに、最近のエロゲーと異なる表現のエロを楽しめるんじゃないかと。今どきでは考えられないような直球過ぎるセクハラや香奈子の唐突ないじめて要求などは逆に新鮮さを感じてしまった。もっとも、そのようなことよりもエロゲーのシナリオやシステムの進化を実感させられる部分が多いんじゃないかな。

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基本的なストーリー展開の流れは、香奈子が配属される部署によって4種類に決まり、さらにエンディングがそこから2つに分岐する。よって8種類の香奈子の運命を楽しむことが可能だ。ただ、セーブできる場所はわずかに4カ所。システムがだるいのに結構序盤のほうから延々とやり直しをさせられることになるので注意してほしい。不足するセーブスロットの数を増やしたいという人は、ゲームをインストールしたフォルダのk_data1〜4がセーブファイルなので、そのファイルをコピーして待避し、擬似的にセーブスロットを増やして対応するとよいかも。

そんな感じでいろいろと不便さが目についてしまうがゆえに、本作はもうパッケージ版の入手が困難な懐かしい昔のエロゲーをプレイしてみたい人にだけお薦めだ。ダウンロード版は1029円と手を出しやすい価格で遊べるんだもんね。まあ、システム面で大きな不満を感じるとは思うが、購入するならばそこはエロゲーの歴史を回顧できるとポジティブに考えるぐらいの気持ちで臨んでほしいかな。自分も不便だけど昔はこういうシステムが普通によくあったなぁ〜と懐かしく感じましたですよ。「リターンキーを押して下さい」にも時代を感じちゃったなぁ。

とにかく最近のエロゲーしかプレイしたことのない人にとっては絶望させられる可能性が高い。素人にはおススメできないって言葉がまさにピッタリだ。また、これはエロゲー業界の自爆行為みたいなものだという見方もできるんじゃなかろうか。過去の作品で収益を得たいメーカーの立場はわかるんだけど、あまりエロゲーをプレイしたことのない人が本作に手を出しちゃった場合、あまりの不便さに驚いてしまい、今後のエロゲー購入意欲を削がれるんじゃないかと思うからね。（システムの変更は難しいケースがほとんどだろうけど）再販する場合はせめてシステムの改善を行なうか、一定以上のユーザービリティを確保している作品に絞ったほうがよいんじゃないのかな〜。もしくは最近の作品と比べてシステム面に不備があることを販売ページに注意書きをしておくか、完全コンプリートできる回答を同梱するぐらいの配慮があってほしいところだ。とりあえず本作はエロ目的の人にはお薦めできないが、エロゲー史を振り返ってみたい人には資料的なものとしてありかも？

   使い方

攻略のアドバイス

基本的にコマンド総当たりで先に進めるタイプのゲームであるため、無駄に選択肢が多い作りとなっている。好きなところでセーブできないから、先へ進める条件を満たしてその場所に移動するまでにほかの場所で何かイベントが起こらないか調べる作業に異常なほど時間を吸い取られましたぜ。おそらくこれで各ルート内にあるCGは全部じゃないかと思うんだけど、当時は異常に意地悪な条件で発生するイベントがあっても不思議じゃないので確信は持てないでいるッス。

なお、大変申し訳ないのですが開発部に配属される方法を覚えていなくて、今回はシナリオ2ルートの攻略チャートを掲載できませんでした。1週間ほどあれこれとトライしていたもののシステムがあまりにも不便すぎてついに挫折。ギブアップです。うーん、志望理由の回答を個性的にして企画を希望し、セクハラ面接を口だけで我慢してもらえば入れたような気がしたんだけど、記憶違いだったか……。やはり13年前では正確な記憶が残っていないですね。

（by 伊織舞也）