潮風の消える海に

Twitter縺ｧ縺､縺ｶ繧�縺�

ヨットを修理して旅立とう！

誰も寄付かないような埋め立て地の無人駅で海を眺めていた主人公は、見知らぬ同年代の男に話しかけられる。沈められているヨットを引き上げて修理し、行き止まりの向こうへ行かないかと誘われたのだった。突拍子のない考えゆえに、誘われた主人公はつき合ってみることにする。かくして、活動を開始しようとした2人ではあるが、人気のない駐車場で中年男性に襲われているように見えた女子校生を助けたことから彼らの人生は変わっていくことになるのだった。

価格帯的にミドルプライスと低価格の境界となるラインで発売されている作品だ。本作はストーリー重視となっており、この価格帯としてはテキストのボリュームがかなりある。ただし、選択肢はエンディングまでに1回も出現しないので、ゲーム性は皆無といえるだろう。完全にノベルゲームというわけだ。物語のほうは、ヨットの修復とその後の免許取得などで3年がかりとなっており、それなりに読みごたえはあると思う。安めの価格帯はエロのみのおかずゲームがほとんどである中で、シナリオ重視の純愛系作品というのは珍しい存在ではないだろうか。『lightBOX2008』の収録タイトルのひとつでもある。

1年目は仲間との出会いとふれ合いが主に描かれているため、エロ目的の人にはもどかしい展開となると思う。主人公と浩介、美潮に加えて莉佳子が参加して男女4人の恋物語へと進む兆しを見せてくれる。しかし、まだヨットの復元への熱い想いが語られる段階であり、女性陣はまだストーリーに積極的な介入をしていないため恋にまでは進んでいない恋人未満の関係で進む。特に、ヨットの復元を鼻で笑われて、美潮を海に蹴り落としたため、主人公と美潮の関係はかなり悪い状態になっている。

2年目になると修復のなったヨットでセイリングをするようになり、主人公と美潮が少しずつ親密になっていく話が綴られる。最悪の出会いから始まった2人の関係が少しずつ進んでいくあたりが見どころだろう。もっとも、主人公は（プレイヤーの予想を越えて）おそろしくヘタレなため、破局を迎える意外な物語展開を見せてくれるだろう。

そして3年目。莉佳子の思惑で主人公と莉佳子がデートしてから4人の関係は急激に変化してエンディングへと進んでいくことになる。ロングヘアーだった美潮が髪を切っていて、ヒロインのイメージが急に変わったと感じる人もいそうだね。ラブコメといえるほどコメディはないけれど、青春ものとして楽しむことができる作品となっている。

最後まで選択肢自体が出現しないので、ゲームシステムは気にする必要もないだろう。lightのシステムであれば快適にプレイできるのだから。回想モードはCGのないテキストのみのものまで用意されているので、結構細かいといえるかな。青春ものが好きな人にお薦めしたい作品だ。

lightの作品を初めて購入しようという人であれば、本作のほかに『Dear My Friend Complete version』『群青の空を越えて』『Imitation Lover』もセットの『lightBOX2008』がお買い得だと思う。でも、すでに持っている作品があるならば単体購入という選択肢が出てくるんじゃないかな。本作品は、パッケージ版を購入してもインターネット経由（もしくは携帯電話）でのユーザー認証（アクティベーション）が必須となるため、パッケージ版とダウンロード版で悩んだ場合は、ダウンロード版を購入するほうが手っ取り早いかもしれません。

（by 天城螢）