痴漢衝動

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痴漢をきっかけに出会った少女

©Wendy Bell

たまたま乗った電車で、主人公が見つけた少女。一見、平凡でありながら、今にも消えてしまいそうな儚げな雰囲気を持つその少女に主人公は強く惹かれるものを感じた。「あんな子なら、痴漢されても声なんか上げないんだろうな……」と考えた主人公は、しだいにその考えに取り憑かれてしまう……。

このゲームはタイトルこそ『痴漢衝動』だけど、痴漢ゲームと考えるのは間違い。痴漢ゲームが好きな人がこのゲームに手を出すと、後悔すること請け合いだ。このゲームは電車の中でヒロインの三崎ゆりに痴漢をする前半パートと、ゆりとの関係を深めていく後半パートに分けることができる。前半パートは良くいえばリアル、悪くいえば物足りない内容。一般的な痴漢ゲームだと最終的には電車の中で本番まで行っちゃうものがほとんど。常識的に考えてそんなことができるわけはないし、リアリティがないといえばない。でも、エロゲーというフィクションの中でならそれもアリだと思う。けど、このゲームはリアルというか、痴漢シーンではあくまでも触るだけ。それ以上の行為に及ぶことはないので、さすがにそれでは欲求不満になってしまう。さらに、痴漢シーンでは主人公は相手の女のコの名前も知らないし、痴漢されている女のコはかすかなあえぎ声を漏らすだけで、セリフもないのでキャラに萌えることもできない。というわけで、このゲームの痴漢パートは、主人公とヒロインが出会うきっかけというだけのもので、「痴漢」という部分に期待してはダメというわけだ。

©Wendy Bell

このゲームのメインとなるのは、主人公とヒロインの三崎ゆりが知り合った後の後半パート。この部分は三崎ゆりというキャラクターを好きになれるかどうかにかかっていると思う。ゆりは大人しくて薄幸の少女というキャラクター。自分の思ったことや言いたいことをハッキリいうことができず、いつもうじうじしているキャラなので、好みは出てしまうんじゃないかな？　ストーリー自体が結構暗くて重いものなので、この点も気楽にプレイしたいという人には合わないかもしれない。ただし、三崎ゆりというキャラクターが好きになれて、暗めのストーリーがOKなら、物語は低価格ソフトとしてはかなりしっかりと作られているので、ストーリー重視派のプレイヤーなら楽しめるんじゃないかと思う。この点はヒロインを1人に絞ったのが功を奏したという感じだ。低価格ソフトではゲーム全体にボリュームを持たせるのが難しいから、ヒロインの数が増えるとどうしても1人1人のキャラクター描写が弱くなってしまうからね。

ゲームシステムはコマンド選択型AVGで、クイックセーブがないのが不満だけど、通常のセーブはいつでもできるので大きな問題はナシ。ただし、ゲームバランスは問題アリだ。このゲームの前半パートは結構選択肢が多いんだけど、どの選択肢を選んでもシナリオ、テキスト共に変化はない。だけど、この部分で正解の選択肢を選んでおかないと、前半パート終了時点でゲームオーバー。フラグはかなりシビアなんだけど、どの選択肢を選んでも変化がないので、プレイヤーとしては選択肢を選ぶ判断材料がなくて、結局はコマンドの組み合わせを総当たりでプレイすることになってしまう。これでは「ゲームを遊ぶ」というより単なる作業だし、なにより面白くない。低価格ソフトでもゲーム性を持たせようとしたのかもしれないけど、それなら前半パートからシナリオ分岐をもうけるなり、テキストに変化を持たせるべきだったんじゃないだろうか？　現状のゲームバランスだと、前半パートをクリアできずに投げ出してしまう人も出そうだし、そうなるとせっかくストーリーが面白くなる後半パートをプレイせずに終わってしまうわけで、それではあまりにもったいないからね。

後半パートの出来だけを見るならオススメ度☆4つつけても良かったんだけど、ゲームバランスの問題をマイナスして、トータルではオススメ度☆3つとした。低価格ソフトというと単純なヌキゲーが多いけど、低価格ソフトでもストーリーを楽しみたいという人にオススメしたい作品だ。

   使い方

攻略

ゲームの内部動作を調べたわけじゃないのでハッキリしたことはいえないけど、隠しパラメータなどがありそうな感じ。セーブポイントまでの前半パートは、選択肢を1つでも間違えるとゲームオーバーになってしまう可能性があるので、確実にプレイしてほしい。後半パートでは選択肢は1回だけなので、各ルートをプレイすればコンプリートだ。

（by Suno）