あまなつ

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海辺の街で始まる恋物語

海部ヶ瀬は人魚の伝説が残る海辺の街。主人公の常磐彼方は9年ぶりに故郷のこの街に帰ってきた。そこで再会する従姉妹の綾瀬真魚。さらに、可憐なお嬢様の御薗木桜子、桜子と同居している風見涼夏、彼方たちの担任教師のソフィア・由花莉・三島、正体不明の野生児のはるさめと出会う。彼方が体験する「はじめて」の行方は…？

デビュー作で派手さはないけれど堅実で、丁寧な作りをされていた『Pure×Cure』をリリースした、チュアブルソフトの第2弾という事でプレイしてみた。プレイしてみると、作りの丁寧さは前作と変わらずで、メーカーがいいのもを作ろうとしているのが感じられる。世の中には壮絶なバグを出しても平然としているメーカーもあるわけで、しっかりとゲームを作り、誠実にユーザーサポートをしているメーカーはそれだけで好感度がアップしてしまうね。安心してプレイできるメーカーの1つですな。

©chuablesoft

ストーリーはいわゆるボーイミーツガール。主人公がヒロインと出会い、一波乱あって恋人同士に。さらに一波乱あって2人の絆が強まる…という流れ。奇をてらったところはないけど、破綻しているところもない。手堅くまとまっているという印象。前作の『Pure×Cure』ではキャラ別ルートが弱いという欠点があったけど、今作ではそれも解消されている。登場するキャラはいい意味で青臭いキャラばかりで、ゲームの雰囲気にはマッチしているかな。ただ、やや描写がくどいところがあったり、ヒロインが主人公を好きになる過程があまり描かれていないのはマイナスポイント。特にこういう恋愛モノではプレイヤーに感情移入させるためにも、恋愛の過程というのが重要になってくるわけで、この点が弱いというのはちょっと厳しい。さらに、物語の舞台になっている海部ヶ瀬に伝わる人魚伝説が重要な伏線になっているっぽいんだけど、物語後半でその伏線が完全に回収されないままになっているのもマイナスポイントだ。主人公の母親は9年前に人魚の呪いによって死んだという設定があるんだけど、人魚の呪いが本当にあるのかという部分がはっきりしないまま物語が終わってしまうので、なんともスッキリしないエンディングになっているんだよねぇ…。中途半端に伏線を放り出してしまうくらいなら、最初から人魚の呪いなどという設定は出さない方が良かったんじゃないかな。

システムはコマンド選択＋マップ移動の複合型AVG。メッセージスキップは早いし、システムの安定度も上々。快適にプレイすることができた。ゲームをコンプリートするためには複数回のプレイが必要だけど、1度見たシーンはメッセージをスキップするだけでなく、シーンそのものを飛ばすこともできるので、繰り返しプレイしてもストレスはまったく感じない。CG枚数は差分抜きで87枚と標準的。CGの塗りが変わったのか、前作より一般受けしそうな感じのCGになっているんじゃないかな。ただ、ゲーム中でカットインCGが表示されれるイベントがあるんだけど、このカットインCGがCGモードに登録されないのはちょっと残念。カットインCGも通常のイベントCGと同等のクオリティなだけに、もったいなかったね。

少々厳しめのレビューになってしまったけど、これはチュアブルソフトへの期待の表れということで。ゲームは標準以上の内容は十分あるので、気に入ったキャラがいたらプレイしても損はないはず。潜在能力は高いメーカーだと思うので、次回作にも期待したいね。

   使い方

攻略

中途半端に同時攻略などをしなければ、エンディングを見るのは難しくないはず。はるさめにはエンディングが2つあること、涼夏はＨシーン中の選択肢によってCGが分岐することを頭に置いてプレイすれば、CG、エンディング共にコンプリートできるだろう。

（by Suno）