Scarlett

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ねこねこソフトのフィナーレを飾るエンターテイメント

どこにでもいる平凡な学生だった明人は、平凡な日常を変えたいと願い、学園を中退し旅に出た。だが、精巧なモデルガンが本物になり得ないように、日常が非日常に変わることはなかった…。失意の中でたどり着いた沖縄で、明人は金髪碧眼の少女、しずかに出会う。この出会いをきっかけに、明人は憧れでしかなかった非日常の世界へと足を踏み入れていく…。

ねこねこソフト最後の作品と言うことで、これまでできなかった渋めのエンタメがコンセプトということになっているけど、まさにその通りの内容。主人公は世界を裏から動かしている高級諜報家の九朗と、非日常の世界に憧れる普通の少年、明人の2人。物語は世界を股にかけた諜報戦という感じで進んでいく。一応、敵との戦いでは銃撃戦なんかもあったりするけど、描写はごくあっさりめ。銃を撃っているCGが1枚ポンと表示されておしまいという事が多くて、「燃え」要素はほとんど皆無と言っていい。かといって、ヒロインのかわいさを押し出すようなイベントが多いわけでもなくて、「萌え」要素もほとんど無い。Ｈイベントもゲーム全体で4つだけと、決して多くない。なんというか、ないない尽くしなんだけど、このゲームに関してはこれがむしろプラスに働いている。1つ1つの描写を抑えめにすることで、ゲーム全体のテンポを良くしたという感じかな。実際、プレイし始めると続きが気になって、一気に最後までプレイしてしまったしね。

©ねこねこソフト

「萌え」要素がないと書いたけど、これは決してキャラクターに魅力がないという意味ではない。むしろ、キャラクターの魅力という意味ではかなり良くできたゲームだと言えると思う。ヒロインである美月やしずかはしっかりと描写されているし、なにより主人公である明人と九朗がいい。ゲームの主人公では、なにを考えているのか訳が分からない主人公というのもいたりするけど、この2人はしっかりとキャラが立っているし、それぞれの主義主張に基づいて行動しているのが分かるしね。ただ、いいキャラなだけに、主人公2人に音声がなかったのはちょっと残念。

そしてなんと言っても良かったのが、物語のエンディング。派手で爽快なエンディングというわけではないんだけど、ジグソーパズルの最後のピースがぴったりとはまったときのようなスッキリとしたエンディングになっているのがいい。具体的な内容に関してはネタバレになってしまうから書かないけど、ほんの少しのもの悲しさもあって、ストーリー性を重視する人なら満足できるんじゃないかな。

ただ、オススメ度で満点をつけなかったことからも分かるように、物足りない点があったのも事実。まず第1点がシナリオが1本道であること。途中で選択肢は出てくるけど、どれを選んでもシナリオに変化はナシ。もちろんエンディングも一緒。「物語」としてはともかく、「ゲーム」としてはどうなんでしょう？　第2点がテンポの良さをスポイルする部分があったこと。このゲームは章仕立てで、1つの章はいくつかのチャプターに分かれている。1つのチャプターが終わると、「次のチャプターに進みますか？」という選択が出てくるシステム。プレイヤーとしては次のチャプターに進むに決まっているのだから、こんなものはナシにして、自動的に次のチャプターに進むようにした方がテンポが良くなったんじゃないかなぁ。第3点がイベント回想モードがないこと。ゲームをクリアすれば好きなチャプターからプレイ可能になるので、回想モードは必要ないということなのかもしれないけど、やっぱり回想モードはつけてほしかった。

いくつか不満点はあったけど、ねこねこソフトの最後を飾るにふさわしい力作であることも確か。まあ、かなり渋めのゲームということで、最後のゲームだからこそできた作品なのかもしれないけどね。それからゲームをクリアするとおまけモードから「おまけモードFINAL」というのが選択できるようになり、ちょっとしたファンディスク的なものを楽しむことができるようになっている。これも含めてねこねこファンには是非ともプレイしてほしいゲーム。それ以外にも「萌え」や「燃え」には食傷気味という人も是非。

   使い方

攻略

レビューでも書いたように、シナリオは1本道でどの選択肢を選んでもエンディングは変わらない。ただし、VIEWを変えると、終盤のＨシーンが変化する。これは変化するチャプターだけをプレイし直してもダメで、最初からシナリオに沿って順番にプレイしていく必要がある。おまけモードFINALのCGもCGモードに登録されるので、こちらも忘れずにプレイしておくこと。

（by Suno）