ボーイミーツガール

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引っ越し先で再会した2人の幼なじみ

両親が海外に転勤することになり、不思議な塔の立つ故郷の町で一人暮らしをすることになった主人公。主人公はそこで2人の幼なじみ、美羽と陽菜と再会する。ところが美羽は記憶喪失で、自分の名前以外の記憶を失っていた。幼い日を過ごした、懐かしい町での生活が始まる…。

ゲームはごくオーソドックスなコマンド選択型AVGで、特に変わった点はナシ。メッセージスキップのスピードがちょっと遅いような気もするけど、まあ問題のない範囲でしょう。登場するヒロインは5人で、美羽と陽菜がメインヒロイン、それ以外の3人はサブヒロインという位置づけ。メインヒロイン2人のルートではキーワードである「魔法」を中心にストーリーが展開。この2人のルートは1つの物語の表裏という感じで、一方のルートで謎が残されても、もう一方のルートでしっかりとフォローされている。伏線を張るだけ張って投げっぱなし、なんていうゲームも少なくないので、この点は評価できる。エンディングはプレイヤーが納得できる形でしっかりとまとまっているしね。まあ、メインヒロインが幼なじみということで、『ボーイミーツガール』というタイトルはちょっと違うような気もしなくはないけど。

このメインヒロインルートで気になったのが、日常生活の描写が少ないこと。主人公とメインヒロインが2人きりになると即Ｈという展開が多くて、恋人同士のイチャイチャぶりがあまり描写されていないんだよね。鬼畜ゲームだったら、ひたすらＨシーンの連続というのもアリだと思うけど、この作品ではキャラへの思い入れというのが大切なはず。Ｈシーンの連続ではキャラに萌えるのは難しいと思うわけですよ。なんというか、ストーリーを進行させ、Ｈシーンを入れることで手一杯という印象。プレイ前の期待が大きすぎたというのもあるかもしれないけど、もうちょっと主人公とヒロインのイチャイチャぶりを描いてほしかったなぁ…。まあ、そのおかげでＨシーンは充実したわけで、このあたりは好みが出てしまうところかもしれないね。

©フロントウイング

サブヒロイン3人のシナリオでは物語のバックボーンにある「魔法」の要素は少なくなり、恋人同士になったキャラとの学園生活がメインに描かれる。陽菜と美羽のシナリオとは正反対に、ストーリー性が弱くなった代りに萌え重視の物語という感じ。個人的には後輩の真央従姉の千鶴なんかはメインの美羽や陽菜よりも好みだったり。純粋にラブコメを楽しみたいのなら、サブヒロインのルートの方が楽しめるかも。どのルートも予想の範囲内に収まるベタな展開ではあるんだけど、安定して楽しむことが出来る内容だ。

ストーリー性ありキャラ萌えアリではあるものの、その2つがルートによって分断されてしまったというのがゲームを終えての感想。フロントウイングはストーリーを作る力も萌えるキャラを作る力もあるメーカーだと思うだけに、ちょっともったいなかったかも。現に過去にリリースされた『そらうた』や『私立アキハバラ学園』ではこの2つの融合した作品を見せてくれたわけだしね。とはいえ、特に破綻している部分があるわけでもないので、オススメ度は☆3つ。CGが気に入ったならプレイしても損はないかな。

（by Suno）