世界でいちばんNGな恋

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ダメ人間が集まったホームコメディ

©HERMIT

妻には離婚され、仕事もクビになりすべてを失った主人公は、なけなしの金を使いスナックでやけ酒を飲む。そんな主人公を励ましてくれたのが、売れっ子ホステスの陽坂穂香だった。穂香に一目惚れしてしまった主人公は決死の覚悟でプロポーズをしようとするが、穂香は既に別の男と駆け落ちをした後……。主人公はオンボロ長屋とともに穂香に取り残された娘、陽坂美都子の保護者になろうとするのだが……。

シナリオでは定評のある丸戸史明氏の作品ということでプレイ。結論からいえば、プレイして正解の良作。まず共通ルートはオンボロ長屋に巣くう住人たちを中心としたコメディ。傍若無人な住人たちに、気が弱くて貧乏神に愛されているとしか思えない主人公が振り回されているのが楽しい。ゲーム後半は個別ルートになり、シリアスな展開という構成。そして、主人公に絡んでくるヒロインたちが良い味を出している。物語自体は陽坂美都子がメインヒロインで、主人公の元妻で美都子の担任の香野麻実、主人公が最初に就職した会社の事務員の天城夏夜、美都子を溺愛するお嬢様の澤嶋姫緒はサブヒロインという位置づけ。

このヒロインたちがそろいも揃ってダメ人間。ヒロインでは美都子以外は立派な大人ばかり。まあ、姫緒は学生だけど、大学生だし大人といっても良いでしょう。ところが、大人であるにもかかわらず、誰かに依存しなければ生きていけないダメヒロインばかり。主人公の元妻の麻実なんかは20代後半の教師でありながら、嫉妬心むき出しで美都子と口げんかをするし。ヒロインがダメ人間だからこそ、プレイしていて好きになってしまうという、ちょっと矛盾した楽しさを感じられるストーリーだね。これは主人公に関しても同様。誰よりも要領が悪くて、誰よりも一生懸命な主人公は思わず応援したくなってしまう。こういうダメ人間を優しい視線で描くことに関しては、丸戸史明氏は本当に上手いなぁ……と感心しちゃいましたよ。

©HERMIT

ただ、ゲームの主人公やヒロインに完璧な人間像を求める人にとっては納得がいかないかもしれない。ゲームはフィクションの世界なんだから、プレイヤーの分身である主人公は完璧な存在であってほしい、そんな主人公を好きになるヒロインもまた完璧な女性であってほしいというのは考え方としてはアリだと思う。ダメ人間が登場するゲームだと、たいていの場合はいろいろな事件を通してダメ人間が成長していくという物語になるものだけど、このゲームではダメ人間はダメ人間のまま終わってしまう。なので、ダメ人間をダメ人間のまま受け入れることのできるプレイヤーでないと物語を楽しめないかも。それと、メインとなるストーリーは美都子のもので、それ以外のヒロインは美都子ルートからスピンアウトするような形になるので、頑張り屋で意地っ張り、人に甘えることのできない美都子に思い入れがもてないと、やっぱり物語を楽しむのは難しそう。個人的には人物描写やヒロインが主人公に惹かれていく過程がしっかりと描かれていたので、まったく問題なく楽しむことができたけどね。

Ｈシーンに関しては、それなりといったところ。Ｈシーンは各ヒロインに4つ用意されているし、3Pなんかもあって、決して薄いわけではないんだけど、エロエロというほどではなかったかな。Ｈシーンはゲーム後半に集中しているので、最初のＨシーンを見るまでに結構時間もかかるしね。内容もごくノーマルなものばかり。まあ、これは純愛ゲームの宿命というべきものなので、仕方のない部分もあるけど。とりあえず、エロエロなヌキゲーを求めている人がこのゲームをプレイするとも思えないから、エロに関しては問題はないかと。ちなみに、CGは差分抜きで92枚あるので、不満を感じることはないでしょう。CGではカットイン的に表示されるデフォルメCGがコミカルな雰囲気を盛り上げてくれてお気に入り。

ずば抜けた部分とか、突き抜けた部分はないけれど、笑いあり涙ありの爽やかな物語が好きという人には是非プレイしてもらいたい作品。ホームコメディが好きならプレイして後悔することはないんじゃないかな。というわけでオススメ度は☆4つ。丸戸史明氏の次回作にも期待したいね。

   使い方

攻略

初回プレイで美都子を攻略しようとすると、物語の途中でエンディングとなってしまう。最初は麻実、夏夜、姫緒の3人をクリアしよう。この3人をクリアした状態で美都子ルートをプレイすると、後半シナリオに入ることができるようになる。そして、美都子エンドを見た状態で姫緒ルートをプレイすると、3Pイベントを見ることができるので、これも忘れずに回収すること。

（by Suno）