CD革命/Virtual Pro 10
アーク情報システムから2007年11月22日に発売された『CD革命/Virtual Pro 10』(以後、本製品と略す)を試用する機会があったので、そのレポートをお伝えしましょう。まずはこのソフトウェアがどのようなものか全然知らない人のために、そのあたりから説明したほうがよいですね。本製品はCDやDVDをハードディスクにディスクイメージとして保存しておき、必要となったときにそのCDやDVDがCD/DVD-ROMドライブにディスクを入れなくても使えるようにするというものです。OSからは本製品が作成する仮想ドライブに該当ディスクが入っているように見えるというわけ。そのため、ディスクをドライブに入れなくてもゲームが起動したり音楽が聴けたりします。CD/DVD-ROMドライブを内蔵していない(ドライブ外付けの)コンパクトなノートPCで仮想CD/DVD-ROMドライブが作り、CDやDVDを利用できるという点でもメリットがあると思います。
最近はハードディスクの容量も大きくなってきたため、CDやDVDをまるごとハードディスクに入れておいても以前よりはそれほど気にならないかもしれません。もちろん、本製品はハードディスクへ書き込まれるディスクイメージを容量の節約のために圧縮するため、CDで720MBとかDVD(一層)で4.7GBといったディスクの仕様上限の容量をまるまる消費することもなく、必要最低限のディスク容量消費でディスクレスの使用を実現できるという製品なのです。
「Media Clip」をご覧の方はゲームの起動時にディスクチェックなしでゲームが起動できるのかを気にしている人も多いかと思います。本製品を使用すると、ディスクをCD/DVD-ROMドライブに入れなくてもゲームを起動できる(かもしれない)というわけですね。その代償としてハードディスク容量を圧迫しますが、お気に入りでいつでも気軽にプレイしたいというゲームがあるのであれば本製品でお気に入りのゲームをディスクイメージとしてハードディスクに保存しておくと便利だということ。物理的にディスクを入れ替える作業とマウスクリックでディスクイメージを簡単に切り換える作業では、圧倒的にマウスクリックのみのほうが楽なわけで……。ゲームに限らず、お気に入りの音楽CDをハードディスクに片っ端から保存しておき、聞きたくなったときにササッと切り換えて再生するという使い方も可能です。音楽の場合はMP3や可逆圧縮のFLACや無圧縮PCMで保存している人もいますから本製品のメインでの使い方とは思えませんけどね。なお、本製品は洋画などのDVD映像は本製品ではハードディスクに保存できません。
当然のことですが、ハードディスクにまるごとディスクを取り込めるからといってコピーに使ってはいけません。違法な行為に使う人が出てくると本製品のような便利なアプリケーションが世の中から消えてしまいます。くれぐれも使い方は間違えないようにしてください。
CDをチェック
まずはインストール前にCDの中身を確認してみました。システム系のアプリケーションだとなんとなく何か面白いのが入っていないかと見たくなってしまうもので……。あまり期待はしていなかったわけですが、この製品CDには「LAME」というフォルダがあり、「Microsoft Visual Stadio 2003」でコンパイルしたLAME(version 3.97)のACMが収録されていたのであります。LAMEといえばオープンソースのMP3エンコーダーであり、ACM(Audio Compression Manager)はOSの標準的なオーディオ出力処理です。CODECを選択できる動画・オーディオ編集のツールで固定ビットレートだけでなく可変ビットレートのMP3出力ができるようになるというのは、本製品の本来の目的とは別にこのおまけでユーザーによってはお得な感じがするわけですね。個人的には発売時期的に「Microsoft Visual Stadio 2005」でコンパイルしてほしかった気がしますが……。インストール前にチェックして「おおぉぉ!?」と驚いていたのですが、インストーラーでインストールすると最後にLAMEがCDに収録されていることが表示されました。こっそり入っていて見つけた人だけがお得というものではなかったのね〜。
インストール
本製品のCD-ROMをドライブに入れればインストールが始まるので、おそらくインストールでつまづくことはないでしょう。実際のところインストール先のフォルダぐらいしか選べないので、確認的なボタンを押していくだけです。本製品が用意する仮想ドライブを聞かれるので、表示されている一覧の中からドライブ名を選択すればOK。仮想ドライブだからドライブVというようにお好みで決めてしまっても大丈夫です。ただし、プログラムが手抜きなアプリケーションでは、製品かどうか判断するディスクチェックをCD/DVD-ROMドライブで最初に発見したところで判断するものがあるため、実際のCD/DVDのドライブがQだとした場合、本製品で作成した仮想ドライブがVだとアルファベット順ではあとになるため、そちらを見ずにNGと判断するものがあることに注意が必要ですね。そのあたりを考慮してドライブ名を決めましょう。インストールが終わったらPCの再起動を求められますが、まあシステムに深くくい込むアプリケーションだから仕方がないことかな。
ただ、これはインストールしてみたら少々いただけないアプリケーションだということが判明しました。うちの環境ではドライブCとDがSATA接続のハードディスクで、ドライブEとFがUSB接続という状態だったのですが、本製品のインストーラーでは、ドライブEがデフォルトで選ばれてしまう。すでに存在するドライブをデフォルトで選択するのは問題じゃないんだろうか? ハードディスクのドライブ名がずれたらファイルへのショートカットが使えなくなって目眩がしそうなのですけど……。うちの環境だけで起こるのでしょうかねぇ。ちなみに、デバイス名の変更を行なってみたところ、勝手に仮想ドライブがEに変わってUSB接続のドライブ名がすべてずれてしまった。おそらくこちらはWindowsXPの仕様上の問題だと思うけどね。
実際に使ってみよう《ゲーム編》
「Arkランチャー」を起動して、「CD革命/Virtual基本機能」にある「仮想CD構築」を選び、まずはイメージファイル化したいCDもしくはDVDをPCに取り込むことになります。とりあえず「本製品と発売日が近いゲームを……」ということで、手元にあった『AGE of EMPIRES III Asian Dynasties』を試してみました。本製品の6日前に発売されたゲームです。ドライブにディスクを入れて、仮想CD構築を行なってみます。
まずは何も設定しない状態でプロテクトの掛かった製品をどの程度対応できるのか試すべく「簡単構築」の自動設定を利用してみましょう。順調にファイル化されていき、そのまま仮想化が完了です。さっそく製品のディスクをドライブから取り出し、仮想ドライブに仮想化したディスクイメージを登録してゲームを起動してみましょう。
「Arkランチャー」から「主画面起動」を選ぶか、スタートメニューのほうから「CD革命 Virtual」を実行してディスクの管理画面を表示します。ディスク管理ではフォルダ分けができるので、デフォルトで用意されているGameフォルダへ移動させておきました。
使いたいディスクをダブルクリックするか、ドライブのアイコンへドラグ&ドロップすれば仮想ドライブに仮想化したディスクをセット完了です。セットしたあとさっそくゲームを起動してみます。無事ディスクチェックを通過してゲームが始まりました。問題なくプレイでき、ゲームを起動するたびにディスクをドライブに入れる必要がなくなったわけです。これは便利。
意外に使えるかもしれないと思い、続いてエロゲーでテストしてみたところ、ノンプロテクト以外は簡単構築ではほとんどうまくいきません。本製品がアピールしているAlpha-ROM対応度のほうをチェックするべく『催眠術2』を詳細構築でプロファイルを「Alpha-ROM」に指定して仮想化してみました。Alpha-ROMの3.1まで本製品は対応しているようですが、『催眠術2』はそれよりも新しいバージョンらしく結果はNGです。起動チェックを通れません。Alpha-ROMのバージョンが低い作品など、いくつか手持ちのゲームを試してみた結果を表にまとめておきます。ただ、プロテクトが掛かっているかなんてほとんど気にしたことがないため、掛かっていないものがあったらあまり参考にならず申し訳ない。
| 作品名 | 仮想化方法 | 成否 | コメント |
|---|---|---|---|
| AGE of EMPIRES III | 簡単構築 | ○ | |
| AGE of EMPIRES III Asian Dynasties | 簡単構築 | ○ | |
| AGE of EMPIRES III The WarChiefs | 簡単構築 | ○ | |
| Men at Work!2 〜ハンターアカデミーへようこそ〜 | 簡単構築 | ○ | SafeDiscらしいが詳細構築のSafeDisc設定では仮想化に失敗する。 |
| R.U.R.U.R ル・ル・ル・ル 〜このこのために、せめてきれいな星空を〜 | Alpha-ROM | ○ | |
| TWIN WAY 〜一瞬の時の中で…〜 | Ring | ○ | Virtual PC上のOSではチェックに引っかかる。 |
| ガジェット | Alpha-ROM | ○ | 仮想化に1時間27分掛かりました。 |
| 幻燐の姫将軍II 〜導かれし魂の系譜〜 | 簡単構築 | ○ | ダミーファイル型。高圧縮設定でも6.97GB消費するので仮想化に向かない。 |
| 催眠術2 | Alpha-ROM | × | 本製品では未対応のプロテクト。 |
プロテクトの掛かっているゲームを本製品で仮想化する場合は、全部に対応できるとは思わないほうがよさそうですね。プロテクトの種類を自分で判断してプロファイルを設定しないといけないという手間もありますし、実用的と思えないほど仮想化に時間が掛かるものもありますから。過度な期待はしないほうがよいかもしれません。
それに、インストール後に初回だけディスクチェックをするがそれ以降はチェックしないディスクレスプレイ可能なゲームには本製品を使う意味がないと思います。起動時に毎回ディスクをチェックするソフトには便利ですけど。
使用していて気になる点もいくつか……。ドライブにディスクイメージを登録した状態では、ディスクイメージの説明を変更できないんだよね。コメントの編集は可能なのでちぐはぐとした仕様に思えるかな。また、設定で「RAWモードで構築する」にチェックを付けているのにNoRAWで作成するケースがあるなど、不思議な感じがしてしまった。あとは、悪戯で仮想CDの作成中にドライブのイジェクトボタンを試しに押してみたら、取り出せちゃって驚いたかな。しかも取り出してエラーになったことを検出していないのか、エラースキップ機能がハード面のエラーと区別していないようで仮想CDの構築は何ごともないかのように進行していった。イジェクトできないようにガードしておくか、イジェクトを検出するべきなのではないでしょうか? あと実験で簡単構築でRingプロテクトのCDを仮想化している途中、あまりにも時間が掛かるのでRingでやり直そうとキャンセルしたところ、本製品はキャンセルになったけれどドライブ側は延々とエラーリトライを繰り返すというプログラム処理上問題があるといわざるを得ない不具合が発生しました。
実際に使ってみよう《音楽CD編》
音楽CDの場合も「Arkランチャー」を起動して、「CD革命/Virtual基本機能」にある「仮想CD構築」を選び、CDのイメージファイル化を行ないます。音楽CDの場合は簡易構築でいけますが、仮想CD構築の前に必ずファイル名の変更を行なうか「CDDBに接続」ボタンを押してCDの情報を取得しなければなりません。CDDBからCD情報を取得すればファイル名はCDのアルバム名になるのですが、デフォルトだとAUDIO CDというファイル名になるため、何のCDかわからなくなってしまいます。間違えて上書きしたら大変ということもありますからね。なお、試しにデフォルトのまま取り込んで、取り込んだあとにCDDBから情報を取得した場合の動作を試してみましたが、仮想CDのコメント欄にCD情報が入るものの、ファイル名などは変化しませんでした。

仮想CD化した音楽CDは、仮想ドライブに入れなくても本製品に付属の『FCD PLAYER』を使うことで再生することができます。表示をミニプレーヤーにすると上のように比較的コンパクトです。使ってみた感じでは、あくまでも簡易的なプレーヤーの域を出ておらず、iTunesやWindows Media Player、WINAMPに比べて、機能面でかなり見劣りしてしまうというのが正直な感想。ここでも悪戯心を出して再生中に音量調査を実行してみたところ、プレーヤーが不正な処理で落ちちゃった……(笑)。また、困ったことに前回使用時の画面位置やサイズを覚えてくれないのでこのプレーヤーは使いにくいアプリケーションとなっています。
非可逆圧縮で音質が劣化するMP3やAACが嫌だという人には選択肢としてよいでしょう。ただ、Windows Media Playerを普段使っている人ならば、可逆圧縮のWindows Media Audio(ロスレス設定)を使ったほうが便利でしょうし、WINAMPでも同じく可逆圧縮のFLACを使えばよいので、個人的には本製品の音楽CDまわりの機能にはあまり魅力を感じませんでした。それらの可逆圧縮とサイズを比較してみようということで、いくつか比較してみたのでご覧ください。圧縮設定を変更できる本製品とFLACは最も圧縮率が高くなる設定にしての比較であります。見ていただければわかりますが、圧縮率は本製品が最も悪いという結果となりました。フリーのFLACと同等ぐらいまでは頑張ってほしい気がします。自分は試したことがありませんけど、iTunesも「Apple ロスレス・エンコーダー」に設定すれば可逆圧縮が可能です。
| アルバム | CD革命/Virtual10 | WMA(ロスレス) | FLAC |
|---|---|---|---|
| A BEST(浜崎あゆみ) | 733MB | 532MB | 560MB |
| Deep River(宇多田ヒカル) | 546MB | 385MB | 415MB |
| MIKI➀(藤本美貴) | 457MB | 345MB | 358MB |
| PRISMIC(YUKI) | 538MB | 362MB | 388MB |
| X3(松浦亜弥) | 471MB | 363MB | 378MB |
| Z(ZONE) | 338MB | 224MB | 237MB |
Pro版は書き込みも可能
仮想化したディスクイメージはPro版では書き込みも可能となっています。持っているCDやDVDを書き戻してどうするんだという気もしますが、仮想CD編集を利用して好みの曲だけ1枚にまとめて書き込むというケースでは役にたつんじゃないかな。たぶん。ほとんどの人は安価なStd版で十分だと思います。
エクスプローラやマイコンピュータでフォルダを右クリックしたときのコンテキストメニューに「仮想CDにする」という機能が追加されているのは、個人的に意外と役立ちそうだ。AVIファイルやMP4ファイルにエンコードしたフォルダがDVD-Rぐらいの容量になった(もしくは組み合わせでなる)場合に仮想化して、書き込み後のディスクの状態を確認して問題がなければそのまま書き込みということが可能になるからね。
ただ、「CD革命 Virtual」のデフォルト保存フォルダと仮想CD編集のデフォルト保存フォルダの設定が別個になっているのは不親切と感じたかな。ユーザー視点では変更するからにはどちらも変わってほしいというのが本音で。同じ設定をもう一度やってあわせないといけないというのは面倒なのですよね。
総評
CDやDVDを仮想化してハードディスク内に取り込んでおけるのは便利です。プロテクトの掛かったディスクにも対応しているのがいいね〜。でも最近のゲームだと、初回起動時にディスクチェックを済ませたら、その後はディスクレスというのが主流だから本製品の必要性が微妙な気もします。そんなわけで、本製品はこれまでに購入したお気に入りのゲームに毎回ディスクチェックをするものが多かった人にお薦めしたい製品という感じですね。
2007-11-25 (by 天城螢)





